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子どもの頃に夢中になったアニメ、『ロミオの青い空』。
原作小説『黒い兄弟』を擦り切れるほど読み込み、のちにドイツ文学科を専攻するきっかけの一つにもなった私にとって、スイス・ティチーノ州のソノーニョ村はずっと特別な場所でした。
この記事では、『ロミオの青い空』や原作『黒い兄弟』の舞台として知られるソノーニョ村を実際に訪れてわかった行き方、村の雰囲気、ヴァル・ヴェルザスカ博物館の見どころを、写真とともにご紹介します!

今回は、エバー航空ビジネスクラスでミラノまでやってきました。航空券は、もちろんポイントサイトで獲得したマイルによる特典航空券です。

ソノーニョ村とは?『ロミオの青い空』と『黒い兄弟』の舞台
まず、『ロミオの青い空』とは、1995年に放送された世界名作劇場のアニメ作品です。
煙突掃除夫としてミラノへ渡った少年ロミオが、厳しい境遇のなかで仲間と出会い、友情を育んでいくというストーリーで、30年以上経った今でも、多くの人の心に残る名作として語り継がれています。
原作は、リザ・テツナーによる児童文学『黒い兄弟』。
アニメ版のもとになった作品ですが、主人公の名前や人物設定、物語の流れには違いがあります。
そして、ソノーニョ村(Sonogno)は、スイス南部ティチーノ州ヴェルザスカ谷の最奥に実在する小さな村。
アニメや原作ファンにとっては、まさに聖地ともいうべき場所なのです。
ソノーニョ村への行き方
ソノーニョ村があるのは、スイス・ティチーノ州、標高千メートルの高地。
スイスの山奥と聞くと、アクセスが難しそう…と感じるかもしれませんが、ロカルノやテネロからバスで一本と、意外とシンプルな道のりです。
テネロ駅から321番ポストバスでソノーニョへ
今回、私はルガノに滞在していましたので、まずは30分ほど電車に揺られてテネロへ。
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テネロ駅前のバス停から321番のポストバスに乗り、ソノーニョ村を目指します。山登りシーズンのためか、ソノーニョ行きは2台体制。
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『黒い兄弟』では、郵便馬車に乗って移動する場面があります。
今は馬車ではなくバスに変わりましたが、“郵便”の系譜はそのまま。思いがけずうれしくなりました。
霧のヴェルザスカ谷を抜けてソノーニョ村へ
車内には終点のソノーニョまでしっかり経路と目安時間が表示されていて安心感があります。
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当日は雨と霧が濃く、あまり景色を楽しめるような状況ではありませんでしたが、途中ティチーノの有名な石橋、ポンテ・デイ・サルティが見えました。
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大荒れの予報どおり往路はかなりの雨ながら、水量の増した壮大な滝も見られて、これはこれでいい雰囲気かも。
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その後、バスは定刻通りソノーニョ村に到着しました!
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ありがたいことに、到着と同時に雨が上がったではありませんか。何という奇跡!
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これなら散策も捗りそうです。

ちなみに今回のルガノ〜テネロ〜ソノーニョまでは、宿泊者向けのティチーノチケット対象区間だったため、すべて無料で移動できました!乗り方としては、電車・バスともに、検札が来た時にチケットを見せればOK。私は一度も当たりませんでした。
ソノーニョ村の町並みと、18世紀から残る教会の鐘楼
ソノーニョに着いてまず感じたのは、思っていた以上に村がきれいに整っていること。
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石造りの家々や石板の屋根は、たしかにイメージ通りなのですが、どの家も建材自体が新しく、よく手入れされている印象です。
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登山の拠点でもあるためか、お土産屋さんやレストランもあり、思ったより開放的と言いますか、どこか影のある『黒い兄弟』のイメージではありません。
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村のどこかに原作に出てくるような「山壁に張り付くように建つ古い二階建ての家」がないものかと歩き回りましたが、どのお家もそこはかとなく新しさを感じさせます。
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ただ、霧のおかげで、それっぽい雰囲気と思えなくもないような。
一番イメージに近いかな?と思ったのが、こちらのお宅の納屋でした。母屋の方はやはり新しそうですけども。
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その一方、村の中心に立つ「ロレートの聖母教会」の鐘楼は1782年にさかのぼるそうです。
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記憶が正しければ、『黒い兄弟』の舞台は1837年なので、この鐘楼だけは当時との繋がりを彷彿とさせます。
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原作でジョルジョがこの教会の鐘楼でフクロウを育てている描写があったことを思い出しました。
アニメとは外観は違うものの、ロミオが早朝に鐘を鳴らす場面が印象に残っている方も多いかもしれません。
教会の中にも入ってみましたが、外観の素朴さとはまた少し印象が異なり、思っていたより明るい空間が広がっていました。
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やわらかな黄色の壁や白いアーチ、祭壇まわりの装飾が美しく、小さな村の小さな教会でありながら、きちんと大切に守られてきた場所であることが感じられます。
ヴァル・ヴェルザスカ博物館を見学
一通り街並みを見た後に向かったのは、ヴァル・ヴェルザスカ博物館。
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| 名称 | ヴァル・ヴェルザスカ博物館 |
| 所在地 | Er piazza 4, Sonogno |
| 開館期間 | 例年5月〜10月末 |
| 開館時間 | 火曜〜日曜 11:00〜16:00 |
| 休館日 | 月曜 |
| 入館料(ティチーノチケット提示で30%オフ) |
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訪れた日の前日は嵐で閉館していたそうで、入れただけでもかなり運がよかったのですが、他に誰もお客さんがおらず、完全な独り占め状態でさらにラッキーです。
ソノーニョ村とヴェルザスカ谷の歴史
受付の上階では、ヴェルザスカ谷の暮らしや建物について、写真や道具とともに紹介されていました。
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家屋の古写真、農具や生活道具が並び、ソノーニョの背景や歴史を学ぶことができます。
黒い台所
今回こちらの博物館を訪れた主目的は、庭を挟んだ隣にある別館です。
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入ってまず目に入るのが、煙で黒くすすけた台所。
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天井も壁も黒く、当時の暮らしがそのまま残っているよう。
ヴェルザスカ谷では、かつてポレンタや栗が日々の食事の中心だったそうです。
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原作にも、家族が暗い台所でポレンタを食べる描写がありますが、こんなに狭く小さな空間だとは思いませんでした。
何となく、数年前に南木曽で見学した家の雰囲気に通じるものがあります。洋の東西は違えど、同じ山奥かつ近い時代だからでしょうか。
寝室
続いて寝室へ。
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当時、子どもたちは親と同じ部屋で眠り、幼い子は2〜3人で1つのベッドを使っていたそうです。
大きめのベビーベッド程度のサイズですが、これは大人用…なのかな?
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ベッドの上に置かれているのは、寝具を温めるための器具。
家全体の暖房はなく、窓も今ほどしっかり閉まるものではなかったため、冬の寝室はかなり寒く湿っていたようです。
学校
次は学校を模した部屋。
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アニメ版ではロミオは円満に任期を終え村に帰りますが、原作のジョルジョは途中でミラノから脱走し、ルガノで医師・カセラ先生の教育支援を受けたのち、教師となってソノーニョへ戻ります。
原作ファンとしては、当時の学校の形態にも興味がありましたので、こういう展示も大歓迎です。
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案内には、当時は学校に通わせるべき年齢の子どもでも、貧しさのために煙突掃除夫として働きに出されることがあったとのこと。
壁には子どもたちの姿と「Di noi chi si occupa? Wer kümmert sich um uns? 私たちのことを誰が気にかけてくれるのか」という重い言葉が記されています。
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一角には写真資料が集められていて、貴重な1900年ごろの子ども煙突掃除夫のカードもありました。
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頭からかぶって煤を防ぐための袋、さらに革の膝当てを身につけています。
当時は煙突に入れるほど体の小さな少年たちが重宝され、煙突掃除夫として働かされていたようです。
その後、子どもの保護が進み、煙突を取り巻く暮らしや建築事情も変わっていく中で、このような搾取の構造が次第になくなっていったのだとか。
現代の部屋
学校の展示のあとには、現代のワンルームを思わせる部屋もありました。
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キッチンやソファ、子どもの権利条約のポスターなどが置かれていて、他の展示とはかなり雰囲気が違います。
ヴァル・ヴェルザスカ博物館の公式案内によると、ここは「モノロカーレ」と呼ばれる部屋で、昔の煙突掃除夫の子どもたちの話を、現代の児童労働の問題へつなげるための展示だそうです。
煙突掃除夫の部屋
最後の部屋は、煙突掃除夫そのものがテーマ。
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壁には、親方が子どもに仕事道具を持たせるような絵が描かれています。
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煙突掃除の子供達にあてがわれる、暗い屋根裏部屋も再現されていました。
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仕事道具の他には布と椀が置かれているだけで、かなり簡素です。
部屋の中央には、挿絵が動く絵本が置かれ、原作の一部がイタリア語・ドイツ語・フランス語で読めるようになっています。ここに限らず、ティチーノでは英語よりドイツ語の方が通じる場面が多いのも面白いところです。
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よく見ると、ここに描かれている橋は、おそらく行きのバスから見えたポンテ・デイ・サルティですね。
年端も行かない子供たちが、途方もない距離、しかも悪路を歩いて外国へ出稼ぎに行くなんて、今では想像もつかないことです。
暗い部屋にずっと一人だったこともあり、見学を終えてもしばらく余韻が残るというか、現実世界に戻りきれない感覚が続きました。
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現地に来て、自分の目で資料を見ることができて本当によかったです。
ヴェルザスカ川と雨上がりのソノーニョ村
博物館を見たあとは、ヴェルザスカ川の方へ。
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水は驚くほど澄んでいるのに流れはかなり速く、岩にぶつかって白く泡立っています。
原作でジョルジョがマスを釣った場面を思い出しました。
そうこうするうち、お天気はどんどん回復傾向に。
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日本を出発する前から、この辺り全域に大雨氾濫警報が出ていたため、どうなることかと気を揉みましたが、結果的には雨、霧、晴れと、ソノーニョ村のさまざまな表情を見ることができて得した気分です。
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実際の天気図はこちら。見事にピンポイントで真紅に染まっていました。
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ソノーニョを後にロカルノへ
それでは、ソノーニョを出発します。ポストバスは、帰りもやはり二台体制でした。
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天候大荒れ予報のおかげかお客さんが少なく、乗り込んだ二台目はほとんど貸切状態で、またしてもラッキー。
麓へと続く道中でもだいぶ太陽が戻ってきていて、行きと同じ景色のはずなのに印象は全く異なります。
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誰もいなかったポンテ・デイ・サルティにも、たくさんの人が。
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次のバスが2時間後でなければ、私も降りて渡ってみたかったな…。
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この後は、テネロ駅から電車でルガノへ戻ろうと思っていましたが、車窓から物語のキーとなるマジョーレ湖が見えまして、ぜひ間近で浸ってみたく、急遽ロカルノまで行ってみることにしました!
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ロカルノやマジョーレ湖周辺の様子は、別記事で詳しくご紹介します。

ソノーニョ村まとめ
ということで今回は、『ロミオの青い空』と原作『黒い兄弟』の舞台として知られるスイス・ソノーニョ村訪問記をお届けしました。
実は9年ほど前に、ファーストクラス世界一周旅行の中で訪れる予定だったのですが、体調不良で泣く泣く見送った経緯がありまして、今回、折しも30周年という節目にようやく訪問が叶ったことは大きな喜びでした。
長年思い描いてきた場所を実際に歩いてみると、作品そのままの世界が残っているわけではないものの、石造りの家並みや古い教会、そしてヴァル・ヴェルザスカ博物館を通して、この土地に積み重ねられてきた歴史を身近に感じることができました。
特に博物館の展示は印象深く、当時の子どもたちが置かれていた過酷な現実が、物語の背景としてではなく、実際にこの地にあった出来事として迫ってきます。
『ロミオの青い空』と『黒い兄弟』の舞台をたどるつもりで訪れたソノーニョ村でしたが、実際にはそれ以上に、この土地そのものの歴史や重みを深く感じる旅となりました。

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