調剤薬局は誰もがお世話になる可能性のある場所です。我が家は体調を崩しやすい子ども達もいますので、ほぼ毎月(多い時は毎週)のように調剤薬局に通っています。
調剤薬局では病院でもらった処方箋を提出して薬を調剤してもらいますが、健康保険のおかげで自己負担は原則3割です。普通の風邪程度であれば千円程度の支払いで済むことも多いかと思います。
しかし、単価の高い薬がたくさん処方された場合、想像以上の金額を請求されたりします。薬に詳しい方でもない限り処方箋を見ただけでは金額は分かりませんから、調剤薬局で支払いをするときにビックリすることになります。
薬代は病気を治すために必要な出費ですから拒むわけにもいきませんし、他の薬局に行けば安くなるというものでもありません。せいぜいジェネリック医薬品を希望して、薬の単価を下げるしか対処法はありませんよね。
調剤薬局でポイントは貰える?
薬代は直接安くはなりませんが、ポイント還元によって実質的に安くなることはあります。
大手のドラッグストアでは支払額に応じて独自のポイントを貰えるところがあるので、調剤薬局が併設されていれば、ポイントを貯めることでお得に薬を購入することができます。例えば、マツモトキヨシのマツキヨポイントは有名ですよね。
このようなポイントは、市販薬については問題なく付与されるのですが、調剤された薬についてはグレーな扱いになっています。
調剤時に薬局側から付与されるポイントについては、数年前から厚生労働省が問題視しているのです。このため、調剤薬局で付与されるポイントは廃止の方向に向かっています。
ポイント付与によって薬代が実質的に減額されてしまうのは適切でないという理由の他、医療保険制度の問題など、様々な問題が絡んでくるみたいです。
<厚生労働省の見解>
保険薬局等における一部負担金の受領に応じたポイントの付与等について1.現状
○ 一部の保険薬局において、保険調剤に係る患者の一部負担金の支払に応じて、ポイントを付与する事例が散見されるようになった。
○ 厚生労働省としては、こうした事態に対応するため、平成23年1月19日付で、
・ 健康保険法等においては、いわゆるポイントの提供や使用自体を規制する規定はないが、ポイントの提供や使用が一部負担金の減額に当たる場合があれば、これらの規定に違反する。
・ 患者が保険薬局等を選択するに当たっては、保険調剤等に係るポイントの提供やそれを強調した広告といった経済的付加価値によらず、薬担規則に基づき、保険薬局等が懇切丁寧に保険調剤等を担当し、保険薬剤師等が調剤、薬学的管理及び服薬指導の質を高めること等によりなされるべきである。
旨の通知を発出したところ。
○ 一方で、現時点においても、ポイントの付与やその広告は継続されており、先般の中医協においても、これを問題視する御指摘があったところ。2.今後の対応方針
(1)調剤薬局等におけるポイントの提供についての考え方
○ 保険調剤においては、調剤料や薬価が中医協における議論を経て公定されており、これについて、ポイントのような付加価値を薬局が独自に付与することは、医療保険制度上、ふさわしくないのではないか。
○ 患者が保険薬局を選択するに当たっては、保険薬局等が懇切丁寧に保険調剤等を担当し、保険薬剤師等が調剤、薬学的管理及び服薬指導の質を高めることが本旨であり、適切な健康保険事業の運営の観点から、ポイントの提供等によるべきではないのではないか。
○ こうした考え方は保険医療機関も同様ではないか。(2)対応案
○ 一部負担金等の受領に応じて、専らポイントの付与及びその還元を目的とするポイントカードについては、ポイントの付与を認めないことを原則としてはどうか。
○ 一方で、現金と同様の支払い機能を持つ、クレジットカードや、一定の汎用性のある電子マネーによる支払に伴い生じるポイントの付与は、これらのカードが患者の支払の利便性向上が目的であることに鑑み、やむを得ないものとして認めることとしてはどうか。
○ これらについては、「保険医療機関及び保険医療養担当規則」及び「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則」を改正することとし、各薬局等における準備期間も必要であることから、施行は平成24年4月1日としてはどうか。
消費者としてはポイントが貰えた方が嬉しいのですが、ポイント付与を中止する薬局が増えているのは紛れも無い事実です。
現時点でポイント付与をまだ続けている薬局もありますが、今後はどうなるかは分かりません。少なくとも、ポイントを積極的に付与してくれる薬局が増えることはなさそうです。
クレジットカード支払いのポイントは?
調剤薬局にはクレジットカードで支払いができるところがあります。規模の小さい薬局ではあまり見かけませんが、大手のドラッグストアに併設されている調剤薬局では結構使えたりします。
クレジットカードで支払いができるということは、支払額に応じてクレジットカード会社から付与されるポイントが貯まります。例えば、ANAワイドゴールドカードを使えば、支払額の1%のANAマイルが還元されます。
つまり、クレジット支払いが可能な調剤薬局に行けば、ANAマイルを貯めることができるのです。調剤薬局で現金支払いしてしまうと、ANAマイルが貰えない分だけ損をしていると考えることもできます。
ちなみに、クレジットカードのポイントについても、調剤に関しては付与対象外になりそうな気がしますが、現時点ではそのようなことはありません。クレジットカード会社から付与されるポイントについては、厚生労働省も容認する方向です。
「クレジットカードや、一定の汎用性のある電子マネーによる支払に伴い生じるポイントの付与は、これらのカードが患者の支払の利便性向上が目的であることに鑑み、やむを得ないものとして認める」という考え方みたいですね。
今後方針が変わる可能性もありますが、しばらくは安泰なようです。
クレジットカードが使える調剤薬局の探し方
調剤薬局自体は結構な数がありますが、クレジットカードが使える調剤薬局の数はそれほど多くありません。このため、ANAマイルを貯めようにも、クレジット支払いのできる調剤薬局を探すだけで一苦労ということにもなりかねません。
そういう場合には、下記検索サイトを使うと便利です。
https://www.kusurinomadoguchi.com/criterias/card
エリアを絞って検索するのが基本的な使い方だと思われます。その他、営業日、営業時間、各種サービスで絞込み検索もできるので使いやすいですよ。
かかりつけの病院であれば、周辺にどんな調剤薬局があるのか把握している方も多いでしょうが、急病などで、いつもとは違う病院に行くような場合にはそうもいきません。そんな時でも上記検索サイトを使えば、簡単にクレジットカードが使える薬局を探すことができます。
まとめ
調剤薬局でANAマイルを貯めるためには、まずクレジットカードが使える薬局を探しましょう。ANAカード等のクレジットカードで支払いをすることで、確実にANAを貯めることができます。
病院の近くにはたいてい調剤薬局があるので、意識していないと病院を出て目についた薬局に足を運んでしまいがちです。しかし、あなたがANAマイルを貯めることに情熱をかける陸マイラーであれば、全力でクレジットカードの使える調剤薬局を探すべきです。
私は、目の前にある薬局でクレジットカードが使えなければ、たとえ高熱で歩くのも辛い状態だとしても、クレジットカードの使える薬局を探して歩き続けると思います!!
10円安い特売品のために、家から遠いスーパーに遠征する主婦の感覚に近いかもしれません。こうなってしまうと、お得かどうかというのは関係なく、完全に自己満足の世界ですけどね。
余談はさておき、クレジットカードが使える薬局は、薬代の支払いによってクレジットカード会社のポイントが貯まっていくため、マイルを貯めていない方にとっても価値があります。無理せず行ける距離にある場合には、ぜひ利用してみてください。
おくすり手帳システム実質値上げ
以下の話はマイルとは全く関係ないのですが、少しでも薬代を安くしたい人のためにちょっとだけ言及しておきます。
調剤薬局に行ったことのある人は知っていると思いますが、薬を貰う際には薬剤師さんから「おくすり手帳持ってますか?」と聞かれます。おくすり手帳は、病院で処方された薬に関する情報を個別に記録しておくことで、飲み合わせの悪い薬の処方や重複投与等を避けるという名目で作られたものです。
薬剤師さんから勧められるままに何となく作ったという方もいるでしょうが、実はおくすり手帳を持っているか否かで医療費は違ってきます。調剤薬局等で薬を貰う際には、薬剤服用歴管理指導料というサービス料のようなものがかかります。この管理指導料が、おくすり手帳の有無によって違うのです。
これまでの管理指導料は、おくすり手帳を持っている場合は410円、持っていない場合は340円でした。つまり、おくすり手帳を持っていると、70円も高くなってしまいます。医療費は原則3割負担なので実際に支払う額の差は20円ですが、おくすり手帳を持っているだけで20円多く支払わなければいけなかったのです。
当然、私は毎回おくすり手帳を断っていました。私は風邪をひきやすい体質なので、普通の人と比べると薬を貰う機会は多いと思いますが、それでも自分の飲んでいる薬の管理くらいはできます。たかが20円といえども無駄に払いたくはありません。
…が、私のような節約好きの人間をよく思わない人たちもいるらしく、2016年4月から管理指導料が変更になりました。新しい薬剤服用歴管理指導料は、おくすり手帳を持っている場合は380円、持っていない場合は500円です。これからは、おくすり手帳を持っていないと逆に120円も高くなってしまいます。3割負担だとしても、その差は40円です。
今回の管理指導料の変更により、調剤薬局での支払額を抑えるためには、とりあえずおくすり手帳を持たなければいけなくなりました。しかも、おくすり手帳を発行していても、薬局に持参していない場合には、持っていない人と同様の扱いを受けてしまいます。
さらに、6ヶ月以内に同じ薬局に行ったことがなければ、おくすり手帳を持ってない人と同様の扱いを受けてしまいます。そして、おくすり手帳を持参することによる減額を行わない薬局(大病院の処方箋を集中的に受け付けている調剤薬局等)も例外として存在します。
まとめると、薬剤服用歴管理指導料を安くするためには、以下の3点に注意する必要があります。
- 薬局には必ずおくすり手帳を持参する
- 6ヶ月以内に行ったことのある薬局に行く
- おくすり手帳の提示による減額を受けられない薬局を避ける
こんな面倒くさいシステムを考えたのは誰なんでしょうか。健康被害を防ぐ等の名目はいくらでもあるのでしょうが、私にとってはデメリットの方が明らかに多いです。
そもそも、これまでおくすり手帳を持たなければ最安340円だった管理指導料が、おくすり手帳を持っても380円になるのですから、いくら安く済ませようとしても結果的には40円(3割負担で12円)の値上げです。
調剤薬局でマイルを貯められることが分かってから、薬を貰いに行くのも少しは楽しみだったのですが、管理指導料の変更(値上げ)のせいで、しばらくは調剤薬局に行くのが憂鬱です。