ANAプレミアムクラスは、ANAが運行する国内線の飛行機に設置されている、普通席よりちょっと贅沢なシートです。
飛行機の座席は狭くて窮屈なイメージがありますが、プレミアムクラスの座席は余裕があって快適。機内食も提供されますし、アルコールを含むドリンクが飲み放題です。
国内線版のビジネスクラスといったところでしょうか。
もちろん、サービスが充実しているため、プレミアムクラスの料金は少々お高め。プレミアムクラスを利用したい場合には、普通席よりも高い料金を支払って予約をする必要があります。
ただし、もともと普通席を予約していた場合にも、その後で追加料金を支払ってプレミアムクラスにアップグレードすることも可能です。
この普通席からプレミアムクラスへのアップグレードに関する規定が、2018年4月より一部変更されることになりました。以下では、気になる変更点について詳しく解説していきます。
アップグレードの事前予約が可能になりました
これまで、普通席からプレミアムクラスへのアップグレードは、搭乗当日に空席があることが前提でした。
しかも、直接空港に行って手続きをしなければなりませんでしたから、空港までの道中で空席がなくなってしまったらどうしよう、とやきもきした経験がある人も少なくないはずです。
かくいう私も、最終便のアップグレード手続きをするためだけに早朝から空港へ出向いたことも…。
これが2018年4月1日(搭乗日)以降、アップグレード方法が「事前アップグレード」と「当日アップグレード」の2通りに分かれることで、大きく変わることとなりました。
事前アップグレードとは?
事前アップグレードを簡単にまとめると、以下の通りです。
◯申込方法はWEB又は電話でOK
事前に、しかも空港に行かずともアップグレードが可能ということは、従来よりもアップグレードできる可能性が上がるはずです。歓迎すべき改善といって良いでしょう。
適用される搭乗日と受付開始日は下記の通りです。
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適用開始搭乗日:2018年4月1日(日)0:00~
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受付開始日:2018年3月30日(金)0:00~
例えば、4月1日の便のアップグレードを希望する場合なら、3月30日の午前0時から手続きができるということですね。
当日アップグレードの変更点
現行でも利用可能な当日アップグレードについても、一部変更がありました。それは、申し込み手続きの方法。
上述したように、現行の当日アップグレードは、直接空港に行ってカウンターで手続きをする必要がありましたが、変更後はウェブサイトや電話での申込みが可能になります。
これも嬉しい変更点です。
アップグレード予約の対象者および適用条件
アップグレード出来る対象者と適用条件は、下記の通りです。
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アップグレードを希望する便の普通席の予約および発券済みの国内線航空券を持つANA マイレージクラブ会員(一部対象外運賃あり)
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アップグレードは、「クレジットカードで支払い」および「アップグレードポイント利用」に限る
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搭乗2日前~搭乗日前日までは「事前アップグレード料金」、搭乗日当日は「当日アップグレード料金」を適用
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2018年4月1日搭乗分より路線別に異なる料金設定へ変更
現在のところ国内線では、国際線の場合と異なり、無料の特典航空券でもアップグレード可能となっていますが、「一部対象外運賃あり」という記載がちょっと気になりますね。詳細が待たれるところです。
アップグレードの料金も変更されます
これまで、アップグレード料金は「一律9,000円」でした。つまり、どの路線でも同じ価格でアップグレードすることができたというわけです。
これに対し、変更後のアップグレード料金は、路線によって異なる料金が適用されることになりました。
変更後のアップグレード料金一覧
一例として、東京発着分の料金表を掲載します。
変更後の料金は、基本的に飛行距離が長くなるほど高くなる傾向にあります。
区間 | 事前アップグレード | 当日アップグレード |
東京札幌 | 14000 | 15000 |
東京稚内 | 7000 | 8000 |
東京紋別 | 7000 | 8000 |
東京中標津 | 7000 | 8000 |
東京釧路 | 7000 | 8000 |
東京函館 | 7000 | 8000 |
東京大館能代 | 5000 | 6000 |
東京秋田 | 5000 | 6000 |
東京庄内 | 5000 | 6000 |
東京仙台 | 5000 | 6000 |
東京名古屋 | 7000 | 8000 |
東京新潟 | 5000 | 6000 |
東京富山 | 5000 | 6000 |
東京小松 | 5000 | 6000 |
東京能登 | 5000 | 6000 |
東京八丈島 | 5000 | 6000 |
東京大阪 | 10000 | 11000 |
東京岡山 | 7000 | 8000 |
東京広島 | 10000 | 11000 |
東京岩国 | 10000 | 11000 |
東京山口宇部 | 7000 | 8000 |
東京鳥取 | 7000 | 8000 |
東京米子 | 7000 | 8000 |
東京萩・石見 | 7000 | 8000 |
東京徳島 | 7000 | 8000 |
東京高松 | 7000 | 8000 |
東京松山 | 10000 | 11000 |
東京高知 | 7000 | 8000 |
東京福岡 | 14000 | 15000 |
東京佐賀 | 14000 | 15000 |
東京大分 | 10000 | 11000 |
東京熊本 | 10000 | 11000 |
東京長崎 | 10000 | 11000 |
東京宮崎 | 10000 | 11000 |
東京鹿児島 | 10000 | 11000 |
東京沖縄 | 14000 | 15000 |
東京宮古 | 14000 | 15000 |
東京石垣 | 14000 | 15000 |
東京発の路線では、アップグレード料金が最大15,000円に。もともとの9,000円と比べると6,000円の値上げですね。
一方、安い方では事前アップグレードで5,000円になる路線も。こちらは、4,000円の値下げです。
アップグレード料金は飛行距離だけでは決まらない?
アップグレード料金の一覧表をよくよく見ると、距離が殆ど変わらないのに、料金に差があるところがありますね。
例えば、同じ四国でも、愛媛県の松山空港だけは11,000円で、他の三県は8,000円になっています。
さらに、距離が遠い方が安いという逆転現象も見られました。例として、東京-大阪が10,000円に対して東京-岡山7000円、東京-福岡14,000円に対して東京ー宮崎10,000円、といった具合です。
これは推測に過ぎませんが、単純に距離だけでなく、需要が見込めるところを高めに設定しているのかもしれませんね。
東京以外の発着路線については、こちらからご確認下さい。
http://www.ana.co.jp/group/pr/pdf/20171220-1-4.pdf
当日アップグレードよりも事前アップグレードがお得
また、表を見てお分かりの通り、事前アップグレードと当日アップグレードにも1,000円の価格差が設けられています。
つまり、当日アップグレードするよりも、2日前または前日にアップグレードした方が1,000円お得になるのです。
早めにプレミアムクラスの座席を確保できる上に、料金も安くなるというのは嬉しいですね。
SFC修行への影響
これまで、ANAの上級会員を目指して飛行機に乗り続ける「SFC修行」の定番といえば、東京-沖縄のプレミアムクラスでした。
定番の理由にはいろいろありますが、獲得できるプレミアムポイントが多いのが最大の理由です。
SFC修行では、プレミアムポイントをいかに効率よく稼ぐかが重要なので、1回のフライトでプレミアムポイント大量に稼げる路線は重宝されます。
プレミアムポイントの獲得効率が高い運賃は、「プレミアム旅割」や「プレミアム株主優待」ですが、当日アップグレードで普通席をプレミアムクラスに変更するという方法も利用されてきました。
これまでの修行効率
例えば、東京-沖縄の便で当日アップグレードした場合、獲得するプレミアムポイントは984PP増えます。
これまでは一律9,000円でアップグレードできたので、アップグレード分のPP単価(獲得プレミアムポイント/アップグレード料金)は、9000÷984=9.15でした。
PP単価が10以下ですので、それなりに有効な手段と言えます。
変更後の修行効率
しかし、今回のアップグレード料金の変更で、東京-沖縄の便は事前アップグレードでも14,000円(当日アップグレードの場合は15,000円)に値上げされてしまいました。
このため、事前アップグレード分のPP単価は、14000÷984=14.23
PP単価10を大きく超えており、変更前と比べるとだいぶ効率が悪くなってしまいましたね。
以上のように、プレミアムポイントを稼ぐためにアップグレードを利用するメリットは、ほとんどなくなってしまいました。
今後、SFC修行をする場合には、プレミアム旅割やプレミアム株主優待を活用するのがよさそうです。
まとめ
今回のアップグレードに関する変更点をまとめると、
・空港に行かずともWEBまたは電話でアップグレード手続が可能に
・アップグレード料金は一律から路線で異なる価格に
・事前アップグレードは当日アップグレードよりも1,000円お得
ということでした。
事前にアップグレードできるようになったことで利便性は高まりましたが、一部の路線では価格が上昇するため、少し使い難くなってしまいそうですね。
逆に、短距離路線では値下がりしているところが多いので、お試しでプレミアムクラスにアップグレードしてみるのもよいかもしれません。
なお、アップグレード手続きの詳細については、2018年1月下旬にANAウェブサイトにてお知らせがあるようです。新たな情報が入り次第、追記する予定です。