飛行機に乗る際には、空港で手荷物検査があります。
機内に危ないものを持ち込むと、思わぬアクシデントに繋がることがありますし、テロ対策としても欠かせません。
もちろん、普段から飛行機に乗り慣れている方なら、何の疑問も不安もなく通過できると思います。
しかし、たまにしか飛行機に乗らない方の場合、とまどってしまう場面もあるかもしれません。
トレーに出す必要があったり、そもそも機内への持ち込みがNGだったり、判断が結構難しいですよね。
ということで、今回は国内線の飛行機に乗る際の手荷物について、元航空会社地上係員としての経験を活かし、出来るだけわかりやすく解説してみたいと思います。
<↓初心者向け!国内線飛行機の乗り方徹底ガイドはこちら↓>
そもそも荷物は何個まで機内に持って入れるの?
主要航空会社(以下ではANAを例としてあげています)の国内線の場合、飛行機内にはハンドバッグ、カメラ、傘などの身の回り品に加え、適合サイズの大きな荷物1つが持込み可となっています。
つまり、飛行機の中に持ち込めるのは「手荷物1個+小物」ということ。
持ち込み可能な荷物のサイズ
手荷物と一言で言っても、どの程度の大きさまで許されるのでしょうか。
航空会社が提示しているサイズガイドは下記の通りです。
上記のように、飛行機の座席数が100席以上か未満かで、認められるサイズが異なっています。飛行機が小さければ収納も小さいため、自然と手荷物のサイズにも制限がかかるわけです(重さに関しては10kg以内で共通)。
・100席未満の小さな飛行機 → 3辺の合計が100cm以内
機内に持ち込めないものって?
機内に持ち込めないものは細かく定められており、非常に多くの種類があります。
全部暗記するのは大変なので、とりあえず覚えておくべき原則は
ハイジャックにつながる可能性があるものは持ち込めない。
ということです。
工作用ハサミは殺傷能力があるためNGだけど、携帯用手芸セットに入っているほんの小さいものはOKなどなど。爪切りも大丈夫です。
いろいろ細かすぎて判断つかない!考えたくないという方は、刃物は預ける荷物(機内に持ち込まない荷物)に入れてしまうのがオススメです。
持ち込んでいいのか判断に迷うものの代表例
私が空港で地上係員として働いていたとき、お客様から「持ち込んでいいの?」と聞かれる物は、いつもだいたい決まっていましたので、まとめてみたいと思います。
ヘアスプレー・冷却スプレー(持ち込みOK、ただし量制限あり)
化粧品・医療用の非放射性スプレーは、1容器あたり0.5L/0.5㎏、1人あたり合計2L/2㎏まで機内持ち込み・預けともに可能。
美容師さん等で、よほど沢山持ち込みたい!という場合を除いて、そうそう一般人が引っかかることはない量です。
飲料等の液体物(国内線はOK、国際線は制限あり)
液体物については、国内線では未開封・開封済み関係なく持込めます。液体物の容量・個数制限はありません。
国際線では一個あたり100mlを超える液体は持込み不可、さらに、1L容量のジップロックに入る量までが許容量なので、ここと混同する方が多いようです。
なお国内線であっても、保安検査場で液体物の内容検査を実施しています。
機械に通すこともありますし、一口飲んでみて下さいと言われることも。
機内にペットボトルなどを持ち込む時は、検査前に出しておきましょう。
ライター(1人1個まで)
ライターは一人1個まで持込み可。
さらにJALの場合は、機内に持ち込むバッグに入れるのはNG、ポケットに入れるなど、身につけることとされています。
ちなみに、何個もライターを持っていると、1個を除いて手荷物検査場で放棄させられてしまいます。
お気の毒に、高いジッポライターを泣く泣く諦める方を何度も見かけました。
生鮮食品を冷却するためのドライアイス
2.5kg以下なら持込み・預け可です。
リチウム電池入りの一般電子機器
下図の一般的な電子機器については個数制限なく持込みOK(電動ロボットなど特殊な大型バッテリーが付いたものは不可ですが、持って乗る一般人はおそらくいないという前提で…)。
<リチウム電池入りの一般電子機器の例>
予備電池(モバイルバッテリー)については一部制限があります。
・リチウム電池はリチウム含有量が2g以下のもの ・リチウムイオン電池(バッテリー)はワット時定格量が100Wh以下のもの |
個数制限なし | 持込み可
預け不可 |
・リチウムイオン電池(バッテリー)はワット時定格量が100Whを超え160Wh以下のもの | 2個まで |
機内持ち込みも預けることもできないものは?
機内持ち込みNGなだけではなく、預ける荷物としてもNGとなっているものがあります。
つまり、そもそも飛行機に乗せてはいけないものがあるのです。
代表的なものは、『火薬関係』。
「一般人が火薬なんて持ち歩かないでしょ」と油断してはいけません。これが結構引っかかる人が多いのです。
なぜだと思いますか?
…
……
それは、「花火」です!
夏の旅行で花火をお土産に…という方、手持ち・打ち上げを問わず、帰りの飛行機に載せることはできないので、どうぞご注意くださいね。
意外な落とし穴?
さらに、凶器でも火薬でもないのに持ち込めない・預けられない意外なものもあります。
それは何かと言いますと…
風船!(膨らんだ状態のもの)
ご存じの通り、上空では気圧が下がるため、破裂してしまうのです。
過去には、係員が見過ごして機内に持ち込まれた風船が破裂したことにより、その音が原因で難聴になったと訴訟に発展したケースもあったとか。
また、ヘリウムガスの場合はそもそも空輸が禁止されています。
せっかく嬉しそうに持ってきたお子さん連れに「風船は飛行機に載せられないんです」と告げる時は毎回心苦しかったです…。
風船は没収、またはご自身で処分して頂くことになりますので、ご注意ください。
他にもある!飛行機に載せられないもの
働いている側もなかなか全部は把握できませんが、これらの他にも色々な制限物が存在します。
ここでご紹介するものは、あくまでご参考まで、さらっとお目通しいただければなのですが…
リチウム含有量2g以上のリチウム電池、ワット時定格量が160wh以上のリチウムイオン電池も飛行機には載せられません。ただし、よほど大容量のバッテリーでなければ該当しないようです。
さらに、リチウム電池を外せないタイプのコードレスヘアアイロンなどは、単独で発熱・発火する可能性があるため飛行機に載せることはできません。
また最近話題になった中では、「ギャラクシーノート7」。現在、電池を外したとしても国土交通省通達により航空機での輸送が禁止されています。
そして、化粧品・医療目的以外のスプレー缶で、引火性ガスを利用しているもの(下図参照)。
具体的には、潤滑油、塗料、ニス、防塵用、スポーツ道具のメンテナンス剤、スキー、スノーボード用WAX等があります。缶に「火気と高温に注意」や、火のマークが書かれていればこれに該当しますので、チェックしてみてくださいね。
もちろん、毒物や劇物もNG。
一部地域に限っての禁止物もあります。例えば、沖縄県・奄美群島からのサツマイモ(公的に消毒されたものを除く)・アサガオなど、沖縄県・徳之島・沖永良部島・与論島からの未検査のカンキツ類・ゲッキツなどの苗木・穂木類・生茎葉は、本土への持ち込みが規制されており、預け手荷物・機内持ち込みもできません。
もし保安検査場で機内に持ち込めないものが見つかったら?
チェックイン手続きも終わったし、荷物も預けたし、さあいよいよ保安検査場へ向かいましょう!
ここまで読んでくださった方なら、問題なく通れるはず…ですが、旅にうっかりはつきもの。
もし保安検査場で機内に持ち込めないものが見つかったら、どうしたらいいのでしょうか。
以前は「コンソリー」といって、該当物品だけを袋に入れ、貨物室で預かってもらうことも出来ましたが、あいにく現在は廃止されています。
つまり、その場で放棄するか、それともカウンターに戻って預けるかの二択ということ。
諦められるものならまだいいとして、カウンターで預け直すにはそれなりに時間もかかりますし、出発30分前には手荷物受託自体が締め切られてしまいます。
いざという時に困らないためにも、以下の点に気を付けておくことをお勧めします。
- 荷物のチェックを徹底する
- 万一に備えて早めに保安検査場を通過する
スムーズな保安検査のために出来ること
さて、保安検査場を通過する時には、後ろで待っている人のためにもスムーズに通過したいですよね。
不慣れな方は何を出していいのか迷ってしまって、必要のないものまで取り出したり、またはしまったりしているのをよく目にします。
これからご紹介することを知っておけば、旅慣れた感を醸しつつ、検査場をパスできることでしょう。
それでも引っかかったら運が悪かった、仕方ないと開き直ってください。
カバンから出す必要があるもの
保安検査場では、あからじめカバンからトレーに出しておかないといけないものがあります。
それは大まかに言ってこの3つです。
- パソコン、タブレット
- ペットボトル飲料
- 飛行機に持ち込んでいいものか判断に迷った刃物類
なぜ上記3つは出しておく必要があるのかと言いますと、パソコン類はX線を妨げないように。ペットボトルは、先述の通り内容物検査のため、そして刃物は検査員が実際に見て判断するからです。
スマホや鍵はカバンから出さなくてOK
逆に、カバンから出さなくていいのに出してしまいがちなものが「スマホ」や「鍵」です。
これらのアイテムは、検査直前になってカバンから取り出す方が非常に多いです。金属製だから気になってしまうのだと思われます。
出したら絶対ダメというわけではありませんが、手荷物検査場での待ち時間が長くなる一因となりますので、出さずにそのままがベターです。
大きな金属製の装飾品は外しておきましょう
荷物をベルトコンベアーに載せたら、次はゲート型の検査機を通ります。人間自身の検査ですね。
大きな金属製のバックルが付いているベルト、髪留め等は検査場に入る前に外し、カバンに仕舞うか、備え付けのトレーの中に入れておきましょう。
髪留めについては判断が難しいかもしれませんが、例えば全体が金属で出来ているバレッタやかんざしは外しておく方が無難です。
小さなヘアピン数本では、ほぼ反応しません。50本、100本と付けているとなると話は別ですが(実際そういう方がいるかどうかは別として…)。
また、よほど大きな重たい金属で出来ていない限り、ピアスやイヤリングも大丈夫です。通常の留め具程度なら、エラー音は鳴りません。
たまに靴が反応することもありますが、それは自分で判断できないでしょうし、周りも仕方ないことだと思ってくれるはず。
明らかに脱いだ方がいい靴は、工場などで働く方がよく履いている「安全靴」。
「これから飛行機に乗る人が安全靴なんか履いて来ないでしょ⁉︎」と思う方もいらっしゃるでしょうが、意外に結構あるあるなんです。これは大きな金属が入っているため、ほぼ100%反応が出ます。
金属探知機のスマートな通り方
「スマホ」や「鍵」等は、すでにご説明したようにカバンから出す必要はないのですが、衣服のポケットに入れたままだと、ゲート型金属探知機でひっかかってしまいます。
そんなときに役立つテクニックが「上着ごと脱いで預ける」という方法。
ポケットから全部取り出すのは大変ですし、時間もかかりますが、ポケットに入れたまま上着を脱いでしまえば、何の問題もありません。
1、2個なら取り出してもよいですが、あまりに色々入っている時には、ポケットをゴソゴソせずに、上着ごと脱いで預けてしまいましょう。それが簡単・確実・スマートです。
時間もかからないので、後ろで待っている人からのプレッシャーも受けずに済みます。
最後に
- 刃物は機内持ち込みではなく、預け入れ荷物に入れるのが確実
- 国内線では液体物の持ち込み制限はなし
- ヘアスプレーは基本OK
- 花火や風船は飛行機に乗せられない
- ベルトの金属バックルは反応する可能性大
- 保安検査場でカバンから取り出すべきものは「ペットボトルなどの液体類」「パソコン」「刃物」
- カバンから携帯電話や鍵などを探し出す必要はありません
- ポケットに金属類が入っていたらあらかじめ取り出すか、上着ごと係員に預けてしまいましょう
飛行機内に持ち込める手荷物に関しては、規則自体がかなり細かく、全てを説明しようとするとキリがありません。このため、今回は一般的によく出る質問、迷うポイントを中心に解説してみました。
手荷物検査のことを予め理解しておけば、搭乗時の手続きをスムーズに済ませることができます。飛行機での旅の負担が、少しでも軽くなるのではないでしょうか?
「こんなの当たり前だよ」との声も聞こえて来そうですが、少しでもどなたかのお役に立てれば幸いです。
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