静岡伊豆市周辺は、蕎麦処として有名です。
特に蕎麦栽培のメッカというわけでもないのですが、一説によれば、美味しい蕎麦作りに欠かせないお水の質が大変よいため、たくさんのお蕎麦屋さんが出来たのだとか。
温泉地として有名な「修善寺」もその例に漏れず、名店と謳われる蕎麦屋さんが数多くあります。
今回は、私が修善寺を訪れた際に実際行ってみたお蕎麦屋さんの中から、とっても気に入ったお店を2つ厳選してご紹介します。
食べログ一番人気「朴念仁」
まずは、修善寺でも最も有名なお蕎麦屋さんと言っても過言ではない「朴念仁（ぼくねんじん）」。
食べログでも、修善寺駅周辺10km圏内に55件あるお蕎麦屋さんのうち、堂々の第1位となっています。
（食べログより）
お店の入口は、古民家風の素敵な佇まいでした。
週末は行列が出来ることも多く、1時間待ちになることもあるのだとか。
この日は平日11時を少し回った頃で、他に待っているお客さんもおらず、すんなりお部屋に通されました。
こちらのお店は修善寺の有名観光スポット「竹林の小径」の脇にあるため、窓から見えるのは一面の緑。都会では味わえない贅沢ですね。
その後続々とお客さんが訪れ、11時半頃には満席に。
お昼にはちょっと早い頃合いだと思いますが、やはり人気があるんですね。並ばずに入店するためには、平日といえども11時半前にお店に着くようにするのがよいかと思います。
正統派のお蕎麦が美味
私が注文したのは、シンプルなつゆそば（1,050円）。具のないお蕎麦としては、少々お高めですが、その分さぞこだわりがあるのだろうと期待が高まります。
注文してから10分ほどで、お蕎麦と小皿に入ったわさびが届きました。
おつゆは薄味ながら滋味深く、麺はつるつる、もちもちっとした喉ごしの良さ。細いのにしっかりしていて、一口食べてすぐに「これが私の求めていたお蕎麦だ！」と確信しました。これまで食べてきたお蕎麦の中で、一番美味しかったです。
そして、新鮮なわさびが上品なお蕎麦の良いアクセントに。以前修善寺に初めて来た時にも感動したのですが、この辺りで頂くわさびは、辛味が少なくて、何より香り高いんですよね。さすがは名産地です。
食べログ1位の評価も頷ける味。しみじみと美味しいお蕎麦でした。
人気メニューは桜海老のかきあげ
今回は注文しませんでしたが、こちらのイチオシメニューは「桜えびのかき揚げ（1150円）」。
（朴念仁公式HPより）
この逸品が生まれたのは、伊豆・修善寺が桜えび最大の水揚げを誇る由比（ゆい）港に近く、生の桜えびが豊富に手に入ることがきっかけだったのだとか。
桜えびは、由比が面する駿河湾だけでなく、相模湾や東京湾河口にも生息しているものの、漁獲対象となっているのは駿河湾のみ。静岡に訪れたら、ぜひとも食しておきたい一品です。
創業以来の大人気メニューということもあり、私も出来ることなら食べてみたかったのですが、一人にはちょっと量が多そう。他に行ってみたいお店もあったので、泣く泣く諦めることにしました。
次回は家族全員で訪れて、お蕎麦と一緒にかき揚げを頂きたいものです。
持ち帰り用のお蕎麦はありませんでした
年末が近かったこともあり、持ち帰りできるお蕎麦があれば、年越し用に購入したいと思ったのですが、あいにくお土産用の取り扱いはないとのことでした（そば茶はありました）。
が、後から知ったことには、実はこちらのお店の母体は、東京銀座に本拠地を置く「流石」というグループで、本店で長年料理長だった方が切り盛りされているのだとか。
銀座の流石本店はミシュラン一つ星に輝くほどの名店なのだそうです。道理で素朴ながら洗練された美味しいお蕎麦だったわけですね。
あのお蕎麦が東京でも食べられるなら、嬉しい限りです。
とはいえ、修善寺という風光明媚な地で食べるお蕎麦はまた格別。ぜひ一度訪れてみて下さいね。
住所：静岡県伊豆市修善寺町修善寺3451-40
営業時間：11時～15時
定休日：水
ワンコインでコース？不思議なお蕎麦屋さん「さくだ」
続いてご紹介するのは、朴念仁の斜向いにある「さくだ」。
一見びっくりする外観ですが、こちらもれっきとしたお蕎麦屋さんなんです。
以前、テレビのバラエティ番組（ヒルナンデスだったかな？）で観て以来、「修善寺に行ったら是非訪れたい！」と思っていました。
食べログ上の情報では、水曜のみ定休となっていましたが、実際は水・木がお休み。あいにく修善寺に到着したのが木曜でしたので、思わぬ「定休日」札にがっかりがっかり…。
翌日の金曜、東京に帰る前に満を持してリベンジしました！
今日はちゃんと営業中ののぼりが出ています。よかったよかった。
店内の様子
なんとなく入りにくい店構えですが、意を決して覗いてみると、優しそうな店主さんが「どうぞ入って下さい、座って～」とにこやかに促してくれました。
カウンター席のすみっこに着席。
着席後は、テレビで予習しておいた通り、無言で待機します。
実は、このお店のメニューは「500円おまかせコース」のみ。黙って待っていても、自動的にお料理が出てくる仕組みです。
それにしても、蕎麦屋さんでコース料理というのは珍しいですよね。コースといっても蕎麦のみですが、500円でリーズナブル。ワンコインで食べられるフルコースとして有名になっているらしく、面白い試みだなと思いました。
待っている間、キョロキョロと辺りを見回してみると、壁や天井の至る所に、芸能人のサインや記事切り抜きが貼られていました。
私がテレビで観たのは昨年一度だけでしたが、それ以前から何度も取り上げられているんですね。
居合わせたお客さんは、おそらく韓国の方のようでした。外国まで評判が届いているとは、侮れません。
一品目：塩そば
このお店のお蕎麦は、一般的に知られている「まな板の上で包丁切っていくタイプ」ではありません。
茹で釜のすぐ上に、ところてんのように蕎麦生地を押し出す機械が付いていて、そこから出てきた麺を包丁でスパッと切ると同時にお湯の中へ落ちる仕組み。
麺が茹であがると、即座に冷水で締めます。あっという間に一品目の「塩そば」が届きました。
量は、一般的な盛りそばの半分くらいでしょうか。上に、修善寺名産のわさびとドイツ製のアルペンザルツ（アルプス岩塩）をたっぷり。こんな風に頂くお蕎麦は初めてです。
「しっかり混ぜてね！混ぜないと美味しくないから。本来の美味しさにするには、きっちり混ぜること！」というお言葉に従って、まぜまぜ…。
すると、わさびの辛さが和らいで、優しく豊かな香りに。
ちょっとかけすぎかな？と思われた塩も、お蕎麦の甘みを引き出して、素朴ながらとっても味わい深いお料理に仕上がっていました。これは面白美味しい！麺もしっかり硬めで、噛むほどに風味が広がります。
二品目：温かいおそば
塩そばを食べ終わると、続いてじゃがいもの天ぷら、ネギ、海苔がたっぷり乗った温かいお蕎麦が出てきました。
今度はお醤油ベースのおつゆがかかっています。
ひとくち食べてみると、一品目とはまた違って、炙った海苔の風味とネギの食感、天ぷら油の旨味が効いた美味しい一品！
何といっても、ほんのり甘いマッシュポテトの天ぷらがお蕎麦に合うことと言ったら…。
じゃがいもをこんな風に調理したこともない上、お蕎麦に合わせようという発想自体なかったので新鮮でした。これは是非家でも真似してみたいアイデアですね。
三品目：スープ
最後の一品は、二品目の温かいおそばのお汁を使ったスープ。そばつゆの段階で、ちょっと飲みすぎてしまったようで「あらっ、結構飲んだね～」と言われてしまいました（笑）。
シンプルに蕎麦湯で伸ばして、その場で削った柚子の皮をぽとり。爽やかな香りで、最後まで美味しく頂くことが出来ました。
先客さんが立ち去った後、しばらくお客が私だけになったので、いろいろお話を伺ってみたところ、「そば粉は一番いいと思ったものを使ってます（この時は北海道産）。ココに来ないと食べられないものを作ってるので、また食べに来てくださいね！」と仰っていました。
たった500円で至福のひととき。店主さんの温かい人柄にも癒やされました。こだわりを感じられる3品のコース料理を味わいに、一度非訪れてみて下さい！
住所：静岡県伊豆市修善寺3458-22
営業時間：10時30分～15時（売り切れ次第終了）
定休日：水・木
最後に
以上、修善寺でオススメのお蕎麦屋さんを2店ご紹介しました。
一店目は正統派有名店の「朴念仁」。
二店目はワンコインで蕎麦コースが食べられる「さくだ」。
対象的なお店ですが、それぞれに良さがあって、修善寺に訪れる機会があればどちらも再訪したいお店。味の好みは人それぞれでしょうが、個人的には文句なしにオススメできるお蕎麦屋さんです。
「朴念仁」と「さくだ」の位置関係はこんな感じで、とってもご近所。
人気ゆえ、行列が出来ていることもあるそうなので、混雑具合を見つつ、どちらか空いている方を選ぶのも良いですね！
たくさん食べられるという方であれば、両方回って食べ比べをしてみるのも面白いかもしれません。
修善寺には美味しいお店がたくさんありますが、迷ったときには定番のお蕎麦がオススメ。修善寺観光のランチには、ぜひこちらのお蕎麦屋さんを検討してみて下さい。
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