コロナ禍での海外渡航は、行くにも帰るにも常とは異なり、さまざまな書類が必要になります。
陰性証明にワクチンパスポート、事前旅行登録などなど、これがまた時期によって変わったり、国によって増えたりと、全く一筋縄ではいきません。
私も事前にリサーチを繰り返し、十分理解していたつもりでしたが、なんとドイツからの帰国間際、予想だにしない事態が起こってしまいました…。
以下、その一部始終をご紹介しますので、少しでもどなたかのご参考になれば幸いです。
最新情報は必ずご自身で確認をお願いいたします。
日本帰国時にはPCR検査陰性証明書が必要
今回は所用のため、しばらくドイツ・ミュンヘンに滞在していましたが、時が経つのはあっという間。
いよいよ帰国の日が近づいてきました。
日本入国に備えて、まず準備すべきは「PCR陰性証明書」です。
出国前72時間以内に所定のPCR検査を受け、帰国便搭乗時に陰性証明書を提示出来なければ、日本に入国できないどころか、飛行機に乗ることすらできないのです。
コロナ禍での対策は徐々に進歩しており、ANAでは2022年2月から日本出発時に書類を事前チェックするサービスも実施しています。
日本が求める陰性証明書は特に厳しい
ドイツでは、街中至る所にPCRセンターが設けられていますが、残念ながらどこで検査してもいいというわけではありません。
なぜかというと、日本政府は陰性証明書にかなり厳しい要件を課しているから。
検査方法や解析方法の指定はもちろん、医師のサインが必要など、細かく様式が定められているため、証明書なら何でもOKというわけではないのです。
実際に渡航してみて、目まぐるしく状況が変わる中、どの検査が真に要件を満たしているのか、素人が完璧に判断するのは難しいと実感しました。
国によっては、現地日本大使館や総領事館のHPに、適応する施設が公表されていることもありますので、とにかくまめに情報収集を行うことが重要です。
ドイツの主要空港では日本専用検査メニューあり
さて、ドイツの日本大使館や日本総領事館は、親切にも対応医療機関のリストを公開してくれています。
その中で、ドイツの主要空港(フランクフルト、ミュンヘン、ベルリンetc)では、「日本渡航専用」と銘打ったPCR検査が提供されていることを知りました。
これを選択すれば、日本所定の検査方法を用いた上、要件を網羅した証明書をもらえるので、とっても安心!
都市によって異なりますが、今回私が選択したのは「CENTOGENE(セントジーン)」という会社です。
最寄りのミュンヘン空港で提供している日本向け検査は、24時間以内に結果が出るスタンダードコースのみ。
一方、フランクフルト空港支店は、フランクフルト・エアポート・マリオット・ホテルの並びに位置しており、6時間以内に結果が出るエクスプレスコースも用意されています。
ミュンヘン空港のCENTOGENEへ
ということで、仕事の合間にミュンヘン・フランツ・ヨーゼフ・シュトラウス国際空港へ。
検査センターは、ターミナル1のC/Dエリアにあります。
街中からだと片道50分ほどかかるので、結構大変でした。
営業時間 5:00 – 22:00
日本向けPCR検査実施時間 5:00 – 22:00
※35分/75分迅速PCRテスト・抗原テストは21:00まで
セントジーンでのコロナテスト受付は、2022年3月31日をもって終了しました。
会員登録と事前決済が必要
ミュンヘンCENTOGENEの日本コースは予約不要で、思い立ったらすぐに検査を受けることが出来ますが(2021年10月時点)、事前に会員登録の上、パスポートナンバーなどの個人情報登録と、料金決済(Paypal, クレジットカード可)が必要です。
パスポートの番号が一致しないと、有効な陰性証明書と認められませんので、申し込み時点で必ず間違いなく入力しておく必要があります。
料金は、証明書代金込みで89ユーロ(約11,000円)。
日本の医療機関が発行するPCR+英文陰性証明書と比べると、だいぶお安く感じられます。
ドイツへ渡航する際には、ワクチンパスポートだけで事足りたため、日本では陰性証明書を取得しませんでしたが、一般的な相場を調べてみると、安くても16,000円からという感じでした。ハワイや中国が目的地の場合は、もっと高額になるようです。
なお、PCR検査に際し、持参が必要なものは以下の通りです。
- 決済が確認できる書類またはスマホ画面
- FFP2マスクまたはサージカルマスク
- パスポート原本
いざ検査
受付に決済完了画面とパスポートを提示すると、試験管に貼るためのステッカーを2枚渡されます。
日本では、唾液の検査だけで認められるはずですが、なぜか「咽頭ぬぐい液」と「唾液」の2回検査がありました。
まずは綿棒で喉奥を擦られ、その後、綿棒を舌下にくわえて待つこと3分。
スタッフさんはどうやら皆学生さんらしく、若い方ばかりです。
小心者なので、もしこれで陽性が出たらどうなるのか聞いてみたのですが、多分14日間どこかで隔離されるのでは?みたいな軽い感じでした。陽性者が出ることは、想像以上に稀なのかもしれません。
検査の間、手持ち無沙汰でブース内を見回していると、ホワイトボードに「日本向けは大至急!」との一言が。
スタッフさんによれば、24時間以内に結果が出ることにはなっているものの、日本向けは4時間くらいで判明することがほとんどとのことでした。
結果が出るまで
さて、検査結果はCENTOGENEのマイページ「My Corona Test Portal」で各自確認することになります。
18時ごろに検査し、夜のうちには結果が出るだろうと聞いていましたが、どうやらタイミング悪く次の日の検査に回されてしまったようで、翌朝になってもまだ動きなし。
結局、お昼前になってようやく陰性が判明しました!
十二分に注意して過ごしていたものの、万一にも陽性だったらと思うと気が気でなかったので、すごく安心しました。
陰性証明書をプリントアウトして準備完了
晴れて陰性となりましたので、あとは上の画面の赤いボタン「Display Final Result」をクリックし、証明書をダウンロード&プリントアウトするだけです。
当時宿泊していたホテル、ルーマーズ ミュンヘン オートグラフ コレクションには、エグゼクティブラウンジやビジネスセンターがありませんでした。
そこでスタッフさんに相談してみたところ、ホテルのメールアドレスにファイルを送っておけば、対応してくれるとのこと。
さっそくプリントアウトしてもらって、これで一件落着!
無事に日本に帰れそうで一安心です。
最終日にどんでん返しが
そして迎えた、ミュンヘン最終日の夕方。
帰国準備は万全!健康状態にも不安はなく、あとはフランクフルト経由で日本へ帰るだけです。
無事に予定も済ませられたことだしと、ヴィクトアーリエンマルクト近くのカフェ・Frischhut(フリッシュフート)へやって来ました。
ドイツとの別れを寂しく思いつつ、優雅に(?)最後のお茶など決め込んでいますと…
(↑名物の揚げパン、シュマルツヌーデル:Schmalznudel)
きっかけは一通のメール
ふと、ANAからのメールが届いていることに気づきました。
ふむふむ。検査証明書の不備が多い、と。
今回は在ミュンヘン日本国総領事館が紹介している機関で、日本専用の検査を受けて、結果もバッチリ陰性だったんだから、何も問題ないはず。大丈夫大丈夫!
…
…
…
…だけど、もし万一入国拒否になったらどうしよう。
用心に越したことはないし、ちょうど全く同じ医療機関の証明書が見本として載っているし、念の為サラッと照らし合わせておこうかな?
陰性証明書の記載要件
ANAからのチェックリストがこちら。
日本の厚生労働省が定めるPCR陰性証明書の記載要件は、下記の通りです。
2.人定情報記入欄
3.採取検体
4.検査法
5.結果
6.結果判明日
7.検体採取日時
8.検査機関情報
上記8項目すべて揃っている必要があるのですが、自分の持っている証明書を確認していったところ…
…
……
…………
?
!?!?!?
「①交付年月日(証明書発行日)」が載ってない!!!!!!!!!!(顔面蒼白)
そうなんです。
なんと、見本と全く同じ医療機関にも関わらず、私が持っている証明書には、発行日が載っていなかったのです。
検査日と結果判明日はしっかり掲載されているんだから、証明書発行日がなくても大丈夫だったりして?なんて淡い期待も、「記載漏れがありますとご搭乗いただけません」の一文にあっさりと打ち砕かれました。
なんでもっと早く確認しなかったんだろう…出発は明日の朝なのに!!
後悔先にたたず。
とにかく、嘆いていても仕方ないので、今から出来ることをしなければなりません。
さっきまでの余韻も何もかも、一瞬で吹き飛んでしまいました。
メールでの相談結果は?
まずは、証明書に載っている連絡先にメールで事情を説明し、新しい証明書を送ってもらえないかお願いしてみることに。
そうは言っても、ここはドイツ。何事にも細やかに行き届いた日本ではありません。
そんな今日明日のこと、しかも営業時間が終わっていそうな時間帯に、対応してもらえるのでしょうか?
とヤキモキしていたら、案外スピーディーにお返事をいただけました。
大変ありがたいことです。
なのですが。
陰性証明書の発行日時は、調査結果の左上隅にあります。一部のアプリでは、技術的な問題で、日付と時刻が省略されている可能性があります。アプリを使用している場合は、必ず当社のWebサイトの元の結果を確認してください。万が一、それでも日時がわからない場合は、ミュンヘン空港のテストセンターのスタッフが、正しい日付を追加します。
左にも右にも上にも下にも、何度見ても書いてないです……(涙)。
特別なアプリを使用しているわけでもないし、ブラウザを変えてマイページを確認してみても、やはり発行日は入っていません。
でもこれを見る限り、ミュンヘン空港のテストセンターに行けば、発行日を書き加えてくれるのかも?
そうは言っても、ここはドイツ(二回目)。
信じて安心してもいいものか、いやそんな失礼な、メールはすぐに返してもらえたのだし、いやいや、これまで一体何度「話、聞いてませんけど?」からのたらい回しにあったと思ってるの…思い出してごらんなさいよ…。
ああでもないこうでもないと不安に苛まれながら、結局翌朝を待つことになりました。
再度テストセンターへ
ほとんど眠れずに迎えた朝。
テストセンターがオープンする5時目掛けて、空港に到着しました。
この日のフライトは8時出発だったのですが、このテストセンターが朝9時、10時オープンだったら一体どうなったことでしょう。想像するだけでゾッとします。
こんなに早い時間から深夜まで営業してくれているのは、本当にありがたいことです。
発行日の追記は不可
前日からのパニックを引きずりつつ、入口にいたスタッフさんに事情を話したところ、なんと、衝撃的な一言が…。
「これはすでに一回出してしまった証明書だから、後から手を加えることはできません」
ほらーーー!!!
やっぱり予想通りだったーーーーー!!!!!(絶望)
ガーン!と思いきり殴られた気分です。
ああ…これからどうなるんだろう?
まずANAに電話して、事情を伝えてみなければ。
正しい陰性証明書をもらうには、もう一度検査?
とりあえず、このままフランクフルトまでは飛ぶべき??
などなど、これからの色々が一気に頭の中を駆け巡り…。
が、ふと我にかえると、スタッフさんが何事か説明を続けてくれています。
別の解決方法があった!!
どうにか深呼吸しつつ、心を落ち着けて聞き直してみると、どうやら「日本のフォーマットに記載すればいい」と教えてくれているようです。
えっ、何か解決方法があるんですか?!
話によると、政府が出しているフォーマットをあらかじめプリントアウトして持参する日本人が多く(皆さんしっかりしていらっしゃる…)、スタッフさん側で、そこに必要事項を記載することも可能だそうなのですが、私はあいにく手持ちがありません。
じゃあ、どこかにプリンターはありますか?と聞くと、なぜプリンターが必要なの?と。
???となっていると、フォーマットはこちらで確保してあるから、パスポートさえ出してくれれば、作成してきてあげるというではありませんか!
なんとご親切な!
かくして、めでたく、無事に、陰性証明書を手にすることが出来たのでした。
これさえあれば、もう大丈夫!
やっと人心地つきました…。
多分、寿命が3日は縮んだことと思いますが、おかげさまで、どうにかこうにか無事日本に帰れることに。
あちこちお騒がせしてしまいましたが、めでたしめでたしです。
肝心の医師のサインはどうするのかな?と思いきや(医療機関の所在地はミュンヘンではなく北ドイツのロストック)、あらかじめ印影まで含めたコピーが用意されていたようです。
日本入国時に「原本はありませんか?」と聞かれたものの、これしかないですと答えると、そうですかとあっさり認めてもらえました。
帰国時の手続きについてはこちらの記事をどうぞ。
最後に
ということで今回は、日本への帰国にあたり必要なPCR陰性証明書について、詳しくご紹介しました。
何分詰めが甘い性分なもので、最後の最後にすったもんだしてしまったものの、ミュンヘンを発つ直前に陰性証明書を得ることが出来て一安心です。
ついつい昔の印象から、ドイツでは何事もすんなり事が運ばないものだ、と警戒しすぎてしまいましたが、テストセンターのスタッフさん達には、迅速親切に対応していただき、とても感謝しています。
ただ、どうして発行日が記載されていなかったのかは、結局わからないまま。
大事な書類は時間的余裕のあるうちに、二重三重のチェックが鉄則と改めて学びました。
そして、素晴らしいタイミングで、わかりやすいチェックリストを送ってくれたANA様様。
あのメールがなかったら、悲惨なことになっていたに違いありません。おかげで命拾いしました。
いろんな人のサポートに、本当に感謝の一言です!
その後の旅行記はこちら♪
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